令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅱ 問題4
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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1番 問1
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
教育実習生が「妹」のアクセントを間違えたのに対し、教師が「ううん、妹です」と正しいアクセントで言い直しています。
これが明示的訂正に当たるので、aは間違いです。
何かを書いている音のあと、教師が「これを見てください」と見せています。
これが視覚的情報の提示に当たるので、bは間違いです。
教育実習生のアクセントの間違いに対し、教師が正しいアクセントでの「妹」を複数回発声しています。
これがモデル音声の提示に当たるので、cは間違いです。
教師は正しいアクセントでの「妹」は繰り返し発生していますが、教育実習生の誤用を繰り返すことはしていません。
dが正解です。
1番 問2
その答えになる理由
アクセントの指導は、通常あとにつく助詞まで含んだ形で行います。
ともだち
低高高高
いもうと
低高高高
は、一見同じアクセントのように見えますが、
ともだちが
低高高高高
だと、アクセントの下がり目がない平板式・平板型
いもうとが
低高高高低
だと、最後の拍にアクセントの下がり目がある起伏式・尾高型のように、アクセント型が異なるためです。
この教育実習生は、
いもうと
低高高高
のみで、助詞「が」を含めた指導を行っていませんでした。
cが正解です。
2番 問1
その答えになる理由
留学生の発話の中で、
ちゅうおうこうえん
トレーニングウェア
ジョギングサークル
の音声が不自然ですね。
複合語のアクセントではなく、
「ちゅうおう」「こうえん」
「トレーニング」「ウェア」
「ジョギング」「サークル」
のように、単独の語のアクセントになっています。
aが正解です。
2番 問2
その答えになる理由
学習者の発話の中で
行くんですが
驚きます
走ります
ジョギングしてから会社に行った人
が不自然ですね。
それぞれ
行くんですが → 行ったんですが
(テンスの誤り)
驚きます → 驚きました
(テンスの誤り)
走ります → 走っていました
(テンスとアスペクトの誤り)
ジョギングしてから会社に行く人 → ジョギングしてから会社に行った人
(テンスの誤り)
が適切な表現であり、テンス・アスペクトの誤りが見られました。
cが正解です。
3番 問1
その答えになる理由
店員の発話で
680円になります。
1,000円からお預かりします。
商品とレシートになります。
などが見られました。
これらは、マニュアル敬語と呼ばれる特殊な表現ですね。
bが正解です。
3番 問2
その答えになる理由
店員「よろしいですか?」
外国人客「はい」
の部分で意思疎通が取れていませんでした。
店員は「(ポイントカードを作らなくても)よろしいですか?」という意図で発話したのに対して、外国人は「(ポイントカードを作っても)よろしいですか?」と捉えています。
これは、店員がどちらとも取れる表現(両義的な表現)を用いたことが原因ですね。
aが正解です。