令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題15
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 イエズス会
その答えになる理由
これは、解説不要ですね。
ザビエルと言えば、イエズス会です。
2が正解です。
問2 山口喜一郎
解説 グアン・メソッド(グアン式教授法)
- サイコロジカル・メソッド
- シリーズ・メソッド
と呼ばれることもあります。
解説 山口喜一郎(やまぐち きいちろう)
ライバルが、問3の選択肢で出てくる「大出正篤(おおいで まさあつ)」です。
「山口喜一郎」と同時期に朝鮮・満州・華北などで「速成式教授法」と呼ばれる教授法を生み出し、実践していました。
解説 伊沢修二(いざわ しゅうじ)
解説 上田万年(うえだ かずとし)
「日本語のハ行音はp→f→hの変遷を遂げた」とする「p音考」という学説が有名ですね。
国語に関する最初の国家的調査機関である「国語調査委員会」の主事を務めたことでも知られています。
解説 森有礼(もり ありのり)
第1次伊藤内閣で初代文部大臣となり、諸学校令制定により戦前の教育制度を確立しました。
その答えになる理由
- グアン・メソッド
- 台湾・朝鮮半島・満州
- 山口喜一郎
は、セットで覚えておきましょう。
1が正解です。
問3 朝鮮半島の日本語教育に携わった人物
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
日本に「オーラル・メソッド」を応用した教授法を導入したのは、「時枝誠記(ときえだ もとき)」ではなく「長沼直兄(ながぬま なおえ)」ですね。
長沼直兄はオーラル・メソッドを開発したパーマーとともに文部省に勤務し、そのときの経験を活かして、オーラル・メソッドを応用した「問答法」と呼ばれる教授法を提唱しました。
『標準日本語読本』は、長沼直兄が米国大使館で主任教官として米国陸海軍から送られたアメリカ人将校への日本語教育に従事していたときに作成した日本語の教科書です。
長沼直兄は、これらの功績を踏まえ「日本語教育振興会」の理事を務めたことでも知られています。
1は間違いです。
「言語過程説」を提唱したのは、「大出正篤(おおいで まさひろ)」ではなく「時枝誠記(ときえだ もとき)」ですね。
「言語過程説」とは、ソシュールの「言語とは、音と意味の結合体である」という見方は、言語を「人間と離れて存在する『モノ』としている」と誤った言語観であるとし、言語主体(話し手)が思想を実現し、理解する過程そのものを言語として捉えるべきだとした学説のことです。
「大出正篤」については、次の解説をご参照ください。
2は間違いです。
「速成式教授法」を開発・実践したのは、「嘉納治五郎(かのう じごろう)」ではなく「大出正篤(おおいで まさひろ)」です。
大出正篤は、問2の「山口喜一郎」と論争を繰り広げた人物で、学習者に予習用として対訳教科書を持たせる一方で、教室では翻訳に触れさせずに、直接法による教室活動を基本とする「速成式教授法」を提唱しました。
「山口喜一郎」が実践した「グアン・メソッド」とは異なる部分が多いのが特徴的です。
「嘉納治五郎(かのう じごろう)」は、「弘文学院」という学校を設立し、中国人に対する日本語教育に尽力した人物ですね。
3は間違いです。
残った4が正解です。
問4 国際学友会
その答えになる理由
参考はこちら
昭和18年6月に「南方特別留学生」の受け入れを行っています。
2が正解です。
問5 日本語教育事業の再開
その答えになる理由
青年海外協力隊を派遣しているには、国際交流基金ではなくJICA(国際交流機構)ですね。
3が正解です。