令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題5
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 生教材
解説 生教材
その答えになる理由
生教材とは、
- 母語話者向けに
- その言語で書かれた・読まれたもので
- 加工・編集せずに、そのまま使用しているもの
のことです。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、「外国語教育用の視聴覚教材」が違います。
日本語教育であれば、日本語が母語である人向けに、日本語で書かれた・読まれたものでないと、生教材には該当しません。
2は、「学習者向けの映像教材」が違います。
1と同じく、日本語が母語である人向けのものでなければ、生教材には該当しません。
3は、何も問題ありません。
これが正解です。
4は、「実際に目の前で演じられているもの」が違います。
- 新聞
- ニュースの録画
- 母語話者同士の会話の録音
などの実際に目の前でおきていないものも、日本語が母語である人向けのものであれば、生教材に該当しますね。
問2 全体の趣旨を聞き取る練習
解説 スキミング
スキミングの力をつけることで、
- わからない部分を文脈から類推する
- 先を予測しながら、読む・聞く
- 仮説を立てて検証しながら、読む・聞く
といった活動ができるようになります。
解説 スキャニング
- 求人情報から、希望する勤務地に関する情報を見つけ出す
- 天気予報から、自分の住む地域に関する情報を聞き取る
などの活動ができるようになることを目的としています。
その答えになる理由
全体的な主旨を聞き取ることが目的なので、「スキミング」の例を探します。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、「何を主張したいか」について、聞き取りを行っています。
大意を掴むことを目的にしているので、スキミングの内容です。
2は、「自分の住んでいる地域の天気」について、聞き取りを行っています。
特定の情報をつかむことを目的にしているので、スキャニングの内容です。
3は、「何分、電車が遅れるか」について、聞き取りを行っています。
特定の情報をつかむことを目的にしているので、スキャニングの内容です。
4は、「インターンシップの日程」について、聞き取りを行っています。
特定の情報をつかむことを目的にしているので、スキャニングの内容です。
問3 イラスト
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
- 動作動詞(走る・書く)
といった具体的な概念ならともかく、
- 思考動詞(思う・考える)
- 推量表現(だろう・みたい)
といった抽象的な概念をイラストで明示的に示すのは難しそうですね。
1は間違いです。
イラストには、学習者の頭の中で考えていたことを図にしたり、図式化することで理解を深めたりといった効果があります。
2が正解です。
言葉だけで伝えるよりも、イラストと紐づいていた方が長期記憶に残りやすくなります。
3は間違いです。
「喜んでいる人」「悲しんでいる人」など、イラストによって人の心理状態を示すことも可能です。
4は間違いです。
問4 対面聴解の練習
解説 対面聴解
その答えになる理由
1・2は、「2人が一緒に同じものを聞く」という内容なので、対面聴解には該当しません。
3・4を見ていきましょう。
3・4は、いずれも話し手と聞き手が直接やり取りをできる状態になっていますが、一方通行ではないやり取りになっているのは、3ですね。
これが正解です。
問5 覚えたほうがよい語や表現を定着させる練習
その答えになる理由
明らかに3が間違いですね…!!
念のため、他の選択肢も見ていきましょう。
小さい単位でリピートさせることで、特定の語や表現の定着を図ることができます。
1は間違いではありません。
事前に学習者に推測させてから、答え合わせをすることで知識の定着を図ることができます。
2は間違いではありません。
1度ロールプレイをさせたあと、再度答え合わせのロールプレイをすることで知識の定着を図ることができます。
4は間違いではありません。
3が正解です。