令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題6
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 CEFR B1レベル
1人の人がいくつもの言語を必要に応じて使用するという「複言語主義」を背景に言語能力を「can-do(~ができる)」という形で示しており、A1→A2→B1→B2→C1→C2の6つのレベルが設定されています。
その答えになる理由
参考はこちら P13
令和2年度試験では、A2レベルが問われました。
今回は、下から3番目のB1レベルです。
選択肢と参考資料を照らし合わせると…
1 A2レベル
2 A1レベル
3 B2レベル
4 B1レベル
の内容ですね。
4が正解です。
問2 社会言語能力
解説 社会言語的能力
解説 文法能力
解説 ストラテジー能力
解説 談話能力
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、場面に応じて適切な表現を使用できる力ですね。
これは、社会言語能力の内容です。
2は、コミュニケーションを円滑に行うための力ですね。
これは、ストラテジー能力の内容です。
3は、発話を理解し構成する力ですね。
これは、談話能力の内容です。
4は、語彙や文法を正確に使用できる力ですね。
これは、文法能力の内容です。
1が正解です。
問3 ウォーミングアップ
その答えになる理由
授業の冒頭でウォーミングアップをすることで、スムーズに授業内容に入れるようになります。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
冒頭で授業で行う活動の目的を学習者に伝えることで、授業のゴールがわかりやすくなります。
1は、ウォーミングアップで行うこととして適当です。
冒頭で「●●は、どのような意味だと思いますか?」と聞かれても……勘で答えるしかないですね。
これは、授業の流れの中の「① ウォーミングアップ」ではなく、「② モデル会話」で行った方が良いと思います。
2は、ウォーミングアップで行うこととして不適当です。
冒頭で話題に関する背景知識を活性化させることで、そのあとの内容が理解しやすくなります。
3は、ウォーミングアップで行うこととして適当です。
冒頭で話題に関する語彙を導入することで、そのあとの活動がスムーズになります。
4は、ウォーミングアップで行うこととして適当です。
問4 モデル会話のシャドーイング
解説 シャドーイング
その答えになる理由
選択肢を見てみると……1が怪しいですね。
シャドーイングは、繰り返して発話を定着させる練習法なので、学習者の日本語レベルよりも高い内容であっても対応自体は可能です。
ただし、形から入る練習法なので、そこから正しい理解が得られるかは別問題だと言えます。
「正確に理解させるため」が違いますね。
1が不適当な内容です。
問5 ロールカード
その答えになる理由
選択肢に関わるのは、
- XとYのロールカードに情報差があるのか?
- 表現の選択権が制限されているのか?
の2点ですね。
②は、簡単です。
それぞれのロールカードにおいて、使用する語彙・文型が指定されているので、表現の選択権が制限されていることがわかります。
この時点で、2か4が正解です。
ロールカードXには、
- 自分の住んでいる町は、旅行先として有名
- 知らない人からの質問に対して「有名な」「人気のある」などの語で答える
ロールカードYには、
- 旅行をしていて、旅行先でそこに住んでいる人を見つけた
- 旅行先の住人へ、おすすめの場所などを聞く
とあります。
ロールカードXを持っている学習者は、何か質問されるということしかわかっていません。
一方、ロールカードYを持っている学習者は、「おすすめの場所や店」という質問する内容がわかっています。
それぞれに情報差がありますね。
- 情報差あり
- 表現の選択権が制限されている
なので、2が正解です。
私は、4を選んでいました。
ロールカードXには、使用する語彙として
- 有名な
- 人気がある
- おすすめ
- ~といいですよ
が記載されていて、「おすすめの場所」を聞かれることが容易に想像できるため、両者の情報差はないと考えたからです。
ロールカードXに「おすすめの場所」として答える具体例があれば納得感があるのですが……情報差がないというのには、イマイチしっくりきていません。。