令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題3
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1
その答えになる理由
下線部Aがポイントです。
「『命題的意味』とは別の発話の力を発揮することがある」とあり、「命題的」を言い換えたものが答えになります。
文の根幹的意味を表す2が正解です。
問2 間接発話行為
解説 間接発話行為
暑いですね。
は、辞書的な意味だと「発話者が暑さを感じている」ですが、
- 窓が閉まっている
- 聞き手が窓のそばにいる
という状況が加わると、「窓を開けてほしい」と間接的に伝える表現だと捉えることができます。
その答えになる理由
「喉が渇いたなあ」→「何か飲み物が欲しい」ですね。
4が正解です。
問3 遂行動詞
解説 遂行動詞
遂行動詞は、以下の5つに分類できます。
分類 | 動詞の例 |
断言型(assertives) | 断言する 主張する など |
行為拘束型(commissives) | 約束する 契約する など |
行為指導型(directives) | 命令する 要求する など |
宣告命名型(declaratives) | 通知する 宣言する など |
心理表出型(expressives) | 感謝する 謝罪する など |
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1の「断言する」は、遂行動詞の断言型に分類されます。
宣告命名型ではないため、間違いです。
2の「命ずる」は、遂行動詞の行為指導型に分類されます。
行為拘束型ではないため、間違いです。
3の「約束する」は、遂行動詞の行為拘束型に分類されます。
行為指導型ではないため、間違いです。
4の「感謝する」は、遂行動詞の心理表出型に分類されます。
分類と動詞の組み合わせが合っているため、これが正解です。
問4 比較文化
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
ベトナム・韓国ともに今は制限をかけていますが、元々は漢字圏ですね。
1は、間違いです。
ルース・ベネディクト著『菊と刀』において、日本は「恥の文化」・西洋は「罪の文化」とされています。
3は、間違いです。
中根千枝著『タテ社会の人間関係』において、「タテ社会」「ヨコ社会」は、それぞれ以下のように分類されています。
タテ社会
- 集団構成の第一条件は、「場」の共通性である
- 一定の「場」にいるという条件によって、集団への所属が認められる
ヨコ社会
- 集団構成の第一条件は、構成する個人の「資格」の共通性である
- 同じ「資格」を持つという条件によって集団への所属が認められる
4は、間違いです。
残った2が正解です。
問5
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
この道で合っていますよね。
のように、相手が熟知している情報を伝えるときは「よ」よりも「よね」の方が適切ですね。
1は、不適当な内容です。
探していたのは、この本ですね。
のように、相手と共有している情報を伝えるときは「ね」を使います。
2は、適当な内容です。
目上の相手の労をねぎらうときは、
ご苦労さまでした。
ではなく、
お疲れ様でした。
の方が適切ですね。
3は、適当な内容です。
目上の相手に願望を聞くときは、
次、何を飲みたいですか?
ではなく、
次、何を飲まれますか?
などの方が適切ですね。
4は、適当な内容です。