
令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題4
の解説をしていきます。
お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。
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前の問題はこちら
問1
その答えになる理由
「幼稚な人・未熟な人」「幼稚な行為・未熟な行為」のように、どちらも人・評価に使用できます。
1は、間違いです。
「初めて富士山に登ったのは、18歳のときだ」
「2回目に富士山に登ったのは、20歳のときだ」
「3回目に富士山に登ったのは、25歳のときだ」
のように「初めて」も3者以上の比較に用いることができます。
2は間違いです。
「山をのぼる」のヲ格は「経路」を示します。
また、「2階にあがる」のニ格は「到達点」の用法です。
3が正解です。
「明日、山に登る予定だ」
「明日、山に登るつもりだ」
のように「予定だ」も「つもりだ」も、自分の計画を示します。
4は、間違いです。
他者の計画を示すためには、
「明日、彼は山に登る予定だそうだ」
「明日、彼は山に登るつもりだそうだ」
のように「~だそうだ」の形にします。
問2
その答えになる理由
「あやうい」「あぶない」は文体が違うだけで、方言か共通語かで区別されているわけではありません。
1は、間違いです。
「おでこ」の方が「ひたい」よりも、くだけた表現です。
くだけた表現=俗語のため、2が正解です。
「あした」「あす」は文体が違うだけで、女性語か男性語かで区別されているわけではありません。
3は、間違いです。
「あったかい」「あたたかい」は文体が違うだけで、幼児語か一般語かで区別されているわけではありません。
4は、間違いです。
問3
その答えになる理由
例文で考えてみましょう。
「知らないくせに、知ったかぶりをする」
「知らないのに、知ったかぶりをする」
従属節と主節の主語は、どちらも「あなたは」です。
同一の主語が入ることもあるため、1は間違いです。
? 「知らないはずのくせに、知ったかぶりをする」
? 「知らないはずなのに、知ったかぶりをする」
一見「はずだ」を入れられるように見えますが、何だか違和感がありますね。
「飛行機で行けば、2時間でつくはずだ」
「あと10分電車が遅れていたら、試験に間に合わなかったはずだ」
のように主節であれば、違和感なく状況判断の「はずだ」が使えます。
2は、間違いです。
「素人のくせに」「素人なのに」
文型が共通していないため、3は間違いです。
「素人のくせに、なぜ口を出すのだ」
「素人なのに、なぜ口を出すのだ」
どちらも、主節に「の(だ)」が必要になるので4が正解です。
問4
解説 ~反面
1つの事柄について、相反する側面を対比として示します。
「先生は、厳しい反面、やさしいところもある」
解説 ~一方で
① ある事柄と並行して、他の事柄があることを示す用法
「この薬は、効き目が早い一方で、持続力がない」
② 対立的な事柄を並べて、対比する用法
「表向きは賛成する一方で、かげでは不満を漏らしている」
その答えになる理由
「~反面…」にはなく「~一方で…」だけが表す意味は「並行」です。
ある事柄があることと並行して、他の事柄も成立することを示します。
1は、前半部分は合っています
後半の「対比」は「~反面…」「~一方で…」の両者が共通してもつ用法なので間違いです。
2が正解です。
「並行」して他の事柄も成立することを「塁加」と表現しています。
3と4は、前半・後半ともに間違いです。
問5
その答えになる理由
1が正解です。
「これは」「(多くの人が間違える)問題です」と主語・述語をわかりやすくすることで、多くの学習者にとって理解しやすい表現となります。
2は間違いです。
一般的に「ヘアスタイル」「イメージアップ」のように外来語を増やすと、学習者は混乱しやすくなります。
3は間違いです。
慣用表現に変えることで、かえって難易度が上がってしまっています。
4は間違いです。
「非常に」を「それはもう」と口語的な言い換えをすることで、かえって難易度が上がってしまっています。