令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題7
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
学習者が復習することを考えると、漢字の筆順に限らず、資料の配布はした方が良いですね。
また、すべての漢字を板書で示すのも、現実的ではありません。
1は、間違いです。
漢字の筆順に限らず、字形の単純さのような導入のしやすさよりも、学習者のニーズを優先させた方が良いですね。
2は、間違いです。
字形を板書やカードで示すのであれば、あわせて読み方も書いてあった方がわかりやすいですね。
+αで音声で確認すると、なお良しです。
3は、間違いです。
4は、何も問題ありません。
これが正解です。
問2 漢字系学習者
その答えになる理由
漢字系学習者として、母語が中国語の学習者を想定して見ていきましょう。
漢字系学習者は、漢字自体は知っているので、そこから意味を推測することができます。
文法を理解していなくてもある程度どうにかなってしまう部分があるので、1は間違っていません。
例えば、「手紙」は、中国語だと「トイレットペーパー」です。
母語の漢字知識に頼ると、間違った意味に解釈してしまうこともあるので、2は間違っていません。
個々の漢字を記号のように記憶してしまうのは、非漢字系学習者の特徴です。
漢字系学習者は、字形と意味を結びつけているので、初めて見る熟語を見てもスムーズに意味がわかります。
3が間違いです。
日本語の漢字と中国語で使われる繁体字・簡体字は、字体が異なります。
日本語 広
繁体字 廣
簡体字 广
漢字系学習者は母語の字体で書いてしまうことが多いので、4は間違っていません。
問3
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、漢字の成り立ちを確認する練習ですね。
これは、字形が同一かどうかを識別するためのものではありません。
2は、部首によるパーツの組み合わせを確認する練習ですね。
これは、字形が同一かどうかを識別するためのものではありません。
3は、漢字やかなの組み合わせでできる漢字を確認する練習ですね。
これは、字形が同一かどうかを識別するためのものではありません。
4が、字形が同一かどうかを識別するための練習ですね。
これが正解です。
問4
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
- 開始
- 初期
- 最初
- 原始
は、「開始」がサ変動詞「開始する」の語幹・そのほかは名詞です。
また、
- 強行
- 強運
- 強者
- 強度
は、「強行」がサ変動詞「強行する」の語幹・そのほかは名詞ですね。
漢字の品詞についての知識を測る問題になっているので、1が正解です。
- 広
- 庁
- 店
- 原
は、「原」の部首ががんだれ・そのほかはまだれです。
また、
- 写
- 家
- 冗
- 冥
は、「家」の部首がまだれ・そのほかはがんだれですね。
漢字の部首についての知識を測る問題になっているので、2は間違いです。
「日常」と意味的に対になるのは、「非日常」です。
また、「人気」と対になるのは、「不人気」ですね。
「不・無・非・未」を使って否定表現をつくる問題になっているので、3は間違いです。
「安(あん)」と同じ音なのは、「暗(あん)」です。
また、「強(きょう)」と同じ音なのは、「狭(きょう)」ですね。
同じ読み方の漢字を選ぶ問題になっているので、4は間違いです。
問5 形成的評価
解説 診断的評価
レベルチェックテスト
などが該当します。
解説 形成的評価
授業内で行われる小テスト
各課の最後のテスト
などが該当します。
解説 総括的評価
期末テスト
などが該当します。
その答えになる理由
- コース開始時に、その時点での学習者の状態を確認するのが「診断的評価」
- コースの途中に、その時点での学習者の到達度などを確認するのが「形成的評価」
- コース終了時に、その時点での学習者の到達度などを確認するのが「総括的評価」
です。
選択肢を見てみると…
1 コース開始時
2 コース期間中
3 コース終了時
4 コース終了後
ですね。
1 診断的評価
2 形声的評価
3・4 総括的評価
にあたります。
2が正解です。