令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題12
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 語の借用
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「sign」は、同じ形で
- 【名詞】しるし・標識
- 【動詞】署名する
を表すことができますが、
「サイン」は、このままだと
- 【名詞】しるし・標識
しか表すことができず、
- 【動詞】署名する
を表すためには、「サインする」の形にしなければなりません。
「sign ≒ サイン」なので、借用された語の品詞は、原語の品詞とは関係ないですね。
1が正解です。
麻雀
↓ 形態素は…
麻・雀
面子
↓ 形態素は…
面・子
「形態素」とは、意味を担う最小単位のことで、「麻雀」「面子」だと、「麻」「雀」・「面」「子」がそれぞれ形態素にあたります。
形態素レベルでも借用は生じるため、2は間違いです。
漢字が日本に入ってきた時代の中国と日本の関係を考えると………威信の高い言語からは借用されにくいとは考えにくいですね。
3は間違いです。
表彰
アワード
のように、同一概念の語が既に存在している場合でも、語の借用は起こりえます。
4は間違いです。
問2 翻訳借用
解説 翻訳借用
その答えになる理由
4が「翻訳借用」の説明そのままですね。
これが正解です。
問3 意味の縮小
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「芝居」は、「芝の生えている場所」から「演劇・演技」へと意味が変化・拡大しました。
1は、意味縮小の例として適当ではありません。
「君」は、「天皇・使える主人」から「同輩以下に対する代名詞」へと意味が変化・拡大しました。
2は、意味縮小の例として適当ではありません。
「玄関」は、「禅寺の門」から「家屋の入り口」へと意味が変化・拡大しました。
2は、意味縮小の例として適当ではありません。
「車」は、「車輪の付いた乗り物」から「自動車」へと意味が変化・縮小しました。
4は、意味縮小の例として適当です。
問4 「外来語」言い換え提案
その答えになる理由
出典元はこちら
毎回の提案では,公共性の高い媒体である,省庁の白書,自治体の広報紙,
「外来語」言い換え提案
新聞で実際に使われている外来語の中から,一般の人々にとって分かりにく
いものを順次取り上げ,分かりやすく言い換えたり,説明を付けたりするこ
とを,具体的に提案してきました。
国立国語研究所「外来語」委員会
2が正解です。
問5 原語との音韻的違い
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
strike
/straɪk/
ストライク
/sutoraiku/
日本語は、子音+母音の構造になるように母音が挿入されています。
1は、原語との音韻的違いに関する記述として適当です。
パターン
pattern
のように、日本語の高低アクセントと英語の強弱アクセントのパターンが一致しないものもあります。
2は、原語との音韻的違いに関する記述として不適当です。
loose
ルーズ
「loose」の「s」は無声音ですが、「ルーズ」の「ズ」は有声音です。
語によっては音の一部が有声音化することもありますね。
3は、原語との音韻的違いに関する記述として適当です。
white
↓
ワイシャツ(ホワイトシャツ)
ホワイトカラー
glass
↓
ガラス
メガネ
になっているように、語によっては異なる形で表されていますね。
4は、原語との音韻的違いに関する記述として適当です。