
令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題11
の解説をしていきます。
お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。
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問1 プロセス・アプローチ
解説 プロセス・アプローチ
「プロセス・アプローチ」とは、学習者が作文を仕上げていく過程を重視した作文指導法のことです。
書く行為においては、推敲・修正の繰り返しが思考を深め、新たな発見を促し、それが文章の再構築を生み出すという考え方に基づきます。
その答えになる理由
「各活動」が推敲や修正のプロセスのことですね。
「思考を深める」というキーワードもあるので、3が正解です。
問2 メタ認知ストラテジー
解説 学習ストラテジー
「学習ストラテジー」とは、学習を進める上で個人がとる方法のことです。
大きく「直接ストラテジー」「間接ストラテジー」に分けられます。
解説 直接ストラテジー
「直接ストラテジー」とは、学習ストラテジーのうち、学習に直接影響を与えるものを言います。
大きく「記憶ストラテジー」「認知ストラテジー」「補償ストラテジー」に分けられます。
● 記憶ストラテジー
記憶を定着させるために取る方法のことです。
語呂合わせや、繰り返し音読する等が該当します。
● 認知ストラテジー
言葉と言葉を関連づけたり、より大きな枠で取られるなと、認知的な理解を促進させる方法のことです。
教科書の内容をノートに自分の言葉でまとめる等が該当します。
● 補償ストラテジー
前後の文脈や背景知識を使って、言語の知識不足等による理解の支障を補っていく方法のことです。
解説 間接ストラテジー
「間接ストラテジー」とは、学習ストラテジーのうち、学習の環境を整えたり、学習へのモチベーションを保ったりと、間接的に学習を支えるものを言います。
大きく「メタ認知ストラテジー」「情意ストラテジー」「社会的ストラテジー」に分けられます。
● メタ認知ストラテジー
自分自身の学習状況について客観的に観察し、把握するための方法のことです。
自身の得意・不得意を把握して学習計画を立てる等が該当します。
● 情意ストラテジー
自分の精神的な安定を保つためにとる方法のことです。
発表前に気持ちを落ち着かせる等が該当します。
● 社会的ストラテジー
人間社会や環境を利用する方法のことです。
母語話者の友人に質問したり、図書館で勉強したりする等が該当します。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1 「社会的ストラテジー」の例です。
2 「認知ストラテジー」の例です。
3 「メタ認知ストラテジー」の例です。
4 これは学習ストラテジーではないですね。コミュニケーションストラテジーの例です。
3が正解です。
問3 「熟練した書き手」の作文活動の特徴
その答えになる理由
これは解説不要ですね。
1が正解です。
問4 事態描写における視点の置き方
その答えになる理由
選択肢を1つずう見ていきましょう。
1は、目上である先生に対して「~してもいい」を用いた誤用です。
「~していただけませんか」などの方が適切ですね。
誤用・正用のどちらも視点は「先生」です。
2は、「電話した」は視点が「母」、「嬉しかった」は視点が「私」です。
視点を「私」に統一して「母から電話が来て嬉しかったです」などの方がわかりやすいですね。
これが正解です。
3を直すとすれば、「リンさん、大学合格おめでとう」でしょうか…?
助詞が過剰に入っていて不自然な文になってしまっているのですが、視点の置き方によるものではありません。
4を直すとすれば、「(私は)足が痛いです」でしょうか…?
ハガ構文により文が不自然に見えますが、視点の置き方によるものではありません。
問5 ルーブリック
解説 ルーブリック
「ルーブリック」とは、
●縦軸…評価項目
●横軸…評価点(到達度)
を設定し、学習者が各評価項目のどのレベルまで到達しているかを測るための評価表のことです。
評価点4 | 評価点3 | 評価点2 | 評価点1 | |
評価項目A | 評価基準A4 | 評価基準A3 | 評価基準A2 | 評価基準A1 |
評価項目B | 評価基準B4 | 評価基準B3 | 評価基準B2 | 評価基準B1 |
評価項目C | 評価基準C4 | 評価基準C3 | 評価基準C2 | 評価基準C1 |
評価項目D | 評価基準D4 | 評価基準D3 | 評価基準D2 | 評価基準D1 |
テストでは把握しづらい「興味・関心」「意欲」「態度」といった課題への取り組み姿勢などを明確に評価できるという点が特徴です。
その答えになる理由
4が「ルーブリック」の説明そのままですね。
これが正解です。