令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題13
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 社会的アイデンティティ
解説 社会的アイデンティティ
解説 個人的アイデンティティ
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、自分が何者であるかを自身の心理的特性を基準に認識しています。
これは、個人的アイデンティティの内容です。
2は、自分が何者であるかを自身の身体的特徴を基準に認識しています。
これは、個人的アイデンティティの内容です。
3は、自分が何者であるかを自身が属しているものを基準に認識しています。
これは、社会的アイデンティティの内容です。
4は、自分が何者であるかを自身の能力感を基準に認識しています。
これは、個人的アイデンティティの内容です。
問2 継承語教育
解説 継承語
幼い子をもつ日本人の両親が、海外転勤によりアメリカへ…という場面であれば
- 親から引き継ぐ日本語 … 継承語
- 現地で子が毎日使う英語 … 現地語
となります。
継承語教育の目的の代表的なものは、
- 生まれつきの文化を保持するため
- 両親とのコミュニケーションを円滑にするため
などが挙げられます。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
従来は保護者や地域団体が日本語の継承語教育の担い手になっていましたが、近年は日本語教育の専門家が担うケースが増えてきています。
逆の内容になっているので、1不適当な内容です。
従来は帰国後を想定した実務面が目的でしたが、近年は帰国有無に関係なく、生まれつきの文化を保持したいなどの様々なニーズに応えることが求められています。
2は、適当な内容です。
近年は帰国有無に関係なく、生まれつきの文化を保持したいなどのニーズだけでなく、日本語の継承語教育が家庭で日本語を使用する機会がない学習者への動機づけの場にもなっています。
3は、適当な内容です。
近年は日本語の継承語教育の枠組みが広がり、第一言語が日本語でない者も日本語の継承語教育の対象に含まれています。
4は、適当な内容です。
問3 コード・スイッチング
解説 コード・スイッチング
解説 会話的コード・スイッチング
解説 状況的コード・スイッチング
解説 隠喩的コード・スイッチング
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、会話の流れを維持しながら、言語変種を切り替えていますね。
これは、会話的コード・スイッチングの内容です。
2は、日常生活・宗教上の儀式の各場面で、言語変種を切り替えていますね。
これは、状況的コード・スイッチングの内容です。
3は、日本語が分かる相手・分からない相手それぞれに対して、言語変種を切り替えていますね。
これは、状況的コード・スイッチングの例です。
4は、仲間との連帯感を高めることを目的として、言語変種を切り替えていますね。
これは、隠喩的コード・スイッチングの内容です。
問4 日本語教育が必要な児童生徒の受け入れ状況等に関する調査
その答えになる理由
出典元はこちら
P6より
1 | ポルトガル語 | 10,404人 |
2 | 中国語 | 9,712人 |
3 | フィリピノ語 | 7,919人 |
となっており、ポルトガル語が日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の母語として最も多いです。
問5
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
何かを学ぶ上で、学習者のアイデンティティに影響が出ないようにするのは難しそうですね。
1は、間違いです。
指導するに当たり、日本文化の価値観に積極的に合わせていくように学習者を促すのではなく、学習者自身のアイデンティティへの配慮していく必要があります。
2は、間違いです。
3は、何も問題ありません。
これが正解です。
何かを学ぶ上で、母語の文化・価値観と日本の文化・価値観を完全に切り離すことは難しそうですね。
4は、間違いです。