令和4年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題13
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 多言語使用
解説 多言語使用
国や地域に限らず、個人や文書・WEBページ・ソフトウェアなどで複数の言語が使用される場合も「多言語使用」だと言えます。
その答えになる理由
3が「多言語使用」の内容そのままですね。
これが正解です。
問2 言語景観
解説 言語景観
新幹線内で次の停車駅を日本語と英語の両方で伝えるような「多言語使用」も、「言語景観」の一種です。
その答えになる理由
4が「言語景観」の内容そのままですね。
これが正解です。
問3 国土地理院による、英語を用いた場合の地名や施設名の表記方法
その答えになる理由
出典元はこちら
(ウ)地形を表す部分の直前に助字(平仮名表記でのみ現れる場合も含む)がある場合は追加方式
(理由)助字が前後にある名詞を一体的に結合させており、一部のみ置換させることが難しいため、置換方式は取れない。
例:八ヶ岳Mt. Yatsugatake、江の川Gonokawa River、芦ノ湖Lake Ashinoko、
地名の英語表記方法及び外国人にわかりやすい地図記号について
湯川(ゆのかわ)Yunokawa River、潮岬(しおのみさき)Cape Shionomisaki
-外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書- P8
平成 27 年 9 月
外国人にわかりやすい地図表現検討会
P8より、「芦ノ湖」は、「湖」の英訳”Lake”を先頭に加えた「Lake Ashinoko」ですね。
1が正解です。
8)神社仏閣
②に相当する部分の表現は多様である。そこで、追加方式により、全体を一まとまりと考え、種別が分かるように後ろにTemple、Shrine をつける。ただし、神社仏閣自身が英語名称を定めている場合にはその表記による。
例:東大寺 Todaiji Temple (追加方式)
地名の英語表記方法及び外国人にわかりやすい地図記号について
清水寺 Kiyomizu-dera Temple (追加方式)
根津神社 Nezu-jinja Shrine (追加方式)
北野天満宮 Kitano-Tenmangu Shrine (追加方式)
※神社自身のサイトにおける英語ページでは KITANO-TENMANGU、KITANO TENMAN-GU SHRINE、Kitano Tenmangu Shrine と、3 通りの表記あり。
春日大社 Kasugataisha Shrine (追加方式)
※神社自身のサイトにおける英語ページでもKasugataisha Shrine
-外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書- P17
平成 27 年 9 月
外国人にわかりやすい地図表現検討会
P17より、「東大寺」は、「寺」の英訳「Temple」をそのままつけた「Todaiji Temple」ですね。
「寺」を置き換えているのではないため、2は間違いです。
2)橋
②部分の表現は「橋」「大橋」「ブリッジ」でほぼすべてである。置換方式により「橋」、「ブリッジ」をBridge に置き換える。「大橋」の場合は追加方式により○○-ohashi Bridge とする。日本橋、二重橋のように居住地名や駅名、観光名所として名称全体が一体化しているものについては追加方式による。
例:勝鬨橋 Kachidoki Bridge (置換方式)
地名の英語表記方法及び外国人にわかりやすい地図記号について
琵琶湖大橋 Biwako-ohashi Bridge (追加方式)
日本橋 Nihonbashi Bridge (追加方式)
二重橋 Nijubashi Bridge (追加方式)
-外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書- P16
平成 27 年 9 月
外国人にわかりやすい地図表現検討会
P16より、通常は「橋」を英訳「Bridge」に置き換えますが、「日本橋」のような名称全体が一体化しているものについいては、英訳「Bridge」を追加した「Nihonbashi Bridge」ですね。
連濁→清音のような置き換えは生じないため、3は間違いです。
1)都道府県名
東京都はTokyo Metropolis、北海道はHokkaido Prefecture とする。
地名の英語表記方法及び外国人にわかりやすい地図記号について
府県については、表音のローマ字表記のFu、Ken をPrefecture にして英語表記とする。
例:京都府 Kyoto Prefecture
茨城県 Ibaraki Prefecture
-外国人にわかりやすい地図表現検討会報告書- P14
平成 27 年 9 月
外国人にわかりやすい地図表現検討会
P14より、「府」「県」は「Prefecture」に置き換えられますが、東京都については「Tokyo Metropolis」ですね。
4は間違いです。
問4 訪日客の利便性を考えた公共表示の作成・設置
その答えになる理由
国土交通省の「観光活性化標識ガイドライン」が出典元だったのですが、現在は削除されています。
案内標識の整備においては、設置主体等の関係者と観光客等案内標識のユーザーが協働して協議会(地域のマネジメント組織)を組織し、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、是正措置(Action)からなる PDCA サイクル型のマネジメントを行い、地域全体の案内に関する基本方針や案内標識の整備方針、さらに、その実効性を担保するための自主的な規制・誘導等について、継続的に検討・調整することが必要である。
また、その際、地図やガイドブック、ホームページ等他のメディアの整備方針についても同時に検討することが効果的である。
観光活性化標識ガイドライン P6
平成17年6月
国土交通省
■正式名称の他に通称がある施設名は地域において統一した名称を使用する。
観光活性化標識ガイドライン P10
平成17年6月
国土交通省
1が正解です。
問5 オールドカマーや日本の少数民族、ろう者などの事情
その答えになる理由
【アイヌ語の文字と表記】
アイヌ語は、特定の文字で表記する方法が定まっていません。そのため、「アイヌ語には文字がない」といわれることもあります。しかし、大正時代のころからは、アイヌ自身がローマ字やひらがな、カタカナなどを用いてアイヌ語を書き残しています。
北海道 HP
現在もさまざまな立場の人によって、アイヌ語の発音を書き表す工夫が続けられています。
HOME > 環境生活部 > アイヌ政策推進局アイヌ政策課 > アイヌ語とは
アイヌ語には特定の文字がないため、1は間違いです。
第一章 総則
第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
第十二章 雑則第百三十四条 第一条に掲げるもの以外のもので、学校教育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるもの及び第百二十四条に規定する専修学校の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする。
e-Gov法令検索
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)
朝鮮学校は、学校教育法の第134条にある「各種学校」に該当します。
そのため、●●小学校・●●中学校という名称を使っている場合もありますが、初等教育・中等教育とイコールではありません。
2は間違いです。
NHKの手話ニュースは、かつて日本語対応手話(後述)であったが、2000 年代初めから日本手話へ切り替えられた。
————-他方、日本語対応手話は手話サークル等においてろう者と聴者との間でコミュニケーションツールとして 1960 年代から使われ始めた人工言語で、当時は日本語対応手話という名称もなく日本手話と渾然一体となり単に「手話」とされていた。聴者は日本語をしゃべりながら、それに合わせて手話の単語に置き換えていくもので、日本語が母語の中途失聴者や難聴者には便利な方法であった。しかし、単語が羅列されているだけで、単語と単語の関係を規定する文法を表すものがないため、ろう者は手の動きをつなぎ合わせて推測し
立法と調査 2017. 3 No. 386(参議院事務局企画調整室編集・発行)
て解読しなければならない。日本語は述語が最後に来て肯定か否定かが最後までわからない言語であるが、その単語を見落とすか、手話通訳が未熟で表現できないとろう者は本来と逆の意味に解釈してしまう間違いも起こりがちである。
日本語と日本手話
― 相克の歴史と共生に向けて ―
第三特別調査室 山内 一宏
日本語の語順に対応した「日本語語順手話」から、「日本手話」への切り替えが起こっています。
3は間違いです。
【夜間中学とは】
文部科学省
○戦後の混乱期の中で、生活困窮などの理由から昼間に就労または家事手伝い等を余儀なくされた学齢生徒が多くいたことから、それらの生徒に義務教育の機会を提供することを目的として、昭和20年代初頭に設けられたもの。
○現在では、義務教育未修了の学齢超過者や、外国人等で日本語の学習を希望する者を中心に教育を行っている。
平成29年度夜間中学等に関する実態調査
夜間中学は、義務教育を受けることができなかった日本国籍の人のほか、外国籍で日本語の学習を希望する人も対象になっています。
4が正解です。