令和5年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題16
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 「経済連携協定」の枠組みで来日する介護福祉士候補者
その答えになる理由
経済連携協定(EPA)による
- インドネシア
- フィリピン
- ベトナム
からの介護福祉士候補者・看護師候補者の受入れは、厚生労働省の管轄です。
1の参考はこちら
P2より、介護福祉士候補者は、入国後4年(+1年)で国家試験に合格することが求められています。
- 介護施設で就労・研修
- 在留期間4年間の、4年目に初めて国家試験を受験可能
- 合格の場合、引き続き就労
- 不合格の場合、1年間介護施設で就労・研修し5年目の受験へ
- 5年目の受験が不合格の場合、帰国
1が正解です。
2の参考はこちら
P1より、合格している日本語能力試験のレベルによって訪日前日本語研修が免除されることはありますが、出身国での介護福祉士免許による国家試験での科目の一部免除は設定されていません。
2は間違いです。
3の参考はこちら
P3より、国内労働市場への影響を考慮し、
- 看護師候補者 各国年間200人
- 介護福祉士候補者 各国年間300人
の上限が設定されています。
3は間違いです。
4の参考はこちら
◎これまでの介護福祉士国家試験で以下の取り組みを実施済み
受入れ支援等の取り組み・受入れ状況などについて
〇難解な用語の平易な用語への置き換え 〇主語・述語・目的語の明示
〇難解な漢字へのふりがなの付記 〇疾病名への英語の併記
〇国際的な略語等の英語の付記 〇外国人名への原語の併記
◎さらに、平成24年度介護福祉士国家試験より、候補者に配慮して、
〇試験時間を一般の受験生の1.5倍に延長
「午前:110分、午後:100分」⇒「午前:165分、午後:150分」
〇わかりやすい日本語への改善
〇全ての漢字にふりがなを付記
※ ふりがなが多すぎるとかえって読みにくくなるとの意見もふまえ、選択可能の方式とする
平成24年6月
社団法人 国際厚生事業団
P5より、日本語面での受験の配慮がされていますね。
4は間違いです。
経済連携協定(EPA)による看護師候補・介護福祉士候補については、以下でも出題されています。
問2 2022年現在の技能実習制度
その答えになる理由
執筆時点(2023/11/15)のニュースにて、技能実習制度の見直しを進める政府の有識者会議で、技能実習に代わる新たな制度の名称を「育成就労」とする案が示されたという内容を目にしました。
今後どうなっていくかが気になりますね。
1の参考はこちら
P6より、令和5年(2023年)6月末時点での技能実習制度による受入人数上位は
1 ベトナム
2 インドネシア
3 フィリピン
ですが、技能実習に関しての二国間取決め(協力覚書)は14の国と締結されており、この3か国以外からの受入れがないわけではありません。
1は間違いです。
2の参考はこちら
P2より、令和4年(2022年)10月末現在での日本で就労する外国人は
- 総数 182.3万人
- 技能実習 約34.3万人
で、技能実習の形態で働く人は、外国人労働者数全体の約19%ですね。
2は間違いです。
3の参考はこちら
P5より、在留資格「技能実習1号」の終了後は、「技能実習2号」へ切替えることができます。
3は間違いです。
4の参考はこちら
P5より、技能実習制度の受入れ機関は、
- 非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する「団体監理型」
- 非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する「企業単独型」
の2タイプが設定されています。
4が正解です。
問3 特定技能制度の目的
その答えになる理由
参考はこちら
中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため,生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために特定技能制度が創設されました。
特定技能ハンドブック ~特定外国人の雇用を考えている事業者の方へ~
出入国在留管理庁
2の内容に対応していますね。
これが正解です。
1は、平成24年(2012)年から実施されている「高度人材ポイント制」の内容です。
高度外国人材の受入れを促進するため、高度外国人材に対するポイント制による出入国在留管理上の優遇措置(以下「高度人材ポイント制」といいます。)を平成24年5月から導入しているところ、高度外国人材の受入れ状況の推移等について公表いたします。
※ 高度人材ポイント制とは、日本の経済成長等に貢献することが期待されている高度な能力や資質を持つ外国人を対象に、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つの活動類型を設定し、それぞれの活動の特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」といった項目ごとにポイントを設け、その合計が70点以上に達した外国人を「高度外国人材」と認定し、出入国在留管理上の優遇措置を講じています。
出入国在留管理庁HP
トップページ>公表情報>各種公表資料>高度外国人材の受入れ状況等について
3は、問2で出題された「技能実習制度」の内容です。
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
厚生労働省HP
ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 人材開発 > 外国人技能実習制度について
4は、問1で出題された「経済連携協定(EPA)」の内容ですね。
「経済連携協定(EPA)」とは
- 貿易
- 人の移動
などを自由化し、
- 知的財産の保護
- 競争政策におけるルール作り
を行うなど、様々な分野での協力関係を視野に入れた幅広い経済関係の強化を目的とした協定のことです。
インドネシア・フィリピン・ベトナムと経済連携協定(EPA)を締結したことにより、看護師候補者・介護福祉士候補者の受入れが始まりました。
問4 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
解説 CEFR
1人の人がいくつもの言語を必要に応じて使用するという「複言語主義」を背景に言語能力を「can-do(~ができる)」という形で示しており、A1→A2→B1→B2→C1→C2の6つのレベルが設定されています。
解説 JF日本語教育スタンダード
その答えになる理由
出典元はこちら
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、JF日本語教育スタンダードの考え方がベースになっています。
「4.テストの構成」より、
- 文字と語彙
- 会話と表現
- 聴解
- 読解
の4セクションで構成されていますね。
また「5.レベルの目安」より、就労のために必要とされる「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」の目安として、A2レベルにおける一定程度の日本語力を持っているかが判定されます。
3が正解です。
問5 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
その答えになる理由
1の参考はこちら
技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定を設け違反に対する所要の罰則を規定するとともに、技能実習生に対する相談や情報提供、技能実習生の転籍の連絡調整等を行うことにより、技能実習生の保護等に関する措置を講ずる。
外国人技能実習制度について
【第46条から第51条まで関係】
法務省 出入国在留管理庁
厚生労働省 人材開発統括官
令和5年11月9日改訂版
P3より、技能実習性に対する人権侵害行為等について、禁止規定及び罰則規定が設定されています。
1は適当な内容です。
2の参考はこちら
優良な実習実施者・監理団体に限定して、第3号技能実習生の受入れ(4~5年目の技能実習の実施)を可能とする。
外国人技能実習制度について
【第2条、第9条、第23条及び第25条関係】
法務省 出入国在留管理庁
厚生労働省 人材開発統括官
令和5年11月9日改訂版
P3・5より、優良な実習実施者等に対して、第1号技能実習生(1年目)→第2号技能実習生(2~3年目)に続く第3号技能実習生(4~5年目)の受入れが可能になりました。
これまで3年だった実習期間を5年に延長することが可能になっていますね。
2は適当な内容です。
3の参考はこちら
P1より、技能実習生は入国1年目から労働基準法の労働者と見なされ、労働基準関係法令が適用されます。
ただし、これは「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」によるものではなく、参考資料からわかるように、「出入国管理及び難民認定法 (入管法 )」の改正によるものです。
3は不適当な内容です。
4の参考はこちら
外国人技能実習機構を認可法人として新設し、【第3章関係】
外国人技能実習制度について
・(2)の技能実習計画の認定【第12条関係】
・(2)の実習実施者・監理団体に報告を求め、実地に検査
【第14条関係】
・(3)の実習実施者の届出の受理【第18条関係】
・(4)の監理団体の許可に関する調査【第24条関係】
等を行わせるほか、技能実習生に対する相談・援助等を行う。
【第87条関係】
法務省 出入国在留管理庁
厚生労働省 人材開発統括官
令和5年11月9日改訂版
P3より、認可法人「外国人技能実習機構」が新設され、技能実習に関する各項目が移管されました。
4は適当な内容です。