平成29年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題7
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
問1 CEFR A2レベル
解説 CEFR
「CFER(ヨーロッパ言語共通参照枠組み)」とは、どの言語にも当てはまる言語能力の測定基準を設定したものです。
1人の人がいくつかの言語を必要に応じて使用するという「複言語主義」が背景にあります。
低い順から
① A1
② A2
③ B1
④ B2
⑤ C1
⑥ C2
の6段階に分けられています。
その答えになる理由
参考はこちら P68
令和2年度試験と同じく、A2レベルを問われています。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1 B1レベルの内容です。
2 B2レベルの内容です。
3 A1レベルの内容です。
4 A2レベルの内容です。これが正解です。
問2 やさしい日本語
その答えになる理由
参考はこちら
旧日本語能力試験の出題基準[2]の 3 級と 4 級の 1,600 語の範囲で書き換えます。ただ
NEWS WEB EASY は外国人だけのもの? NHK 放送技術研究所 田中英輝より
し、1,600 語は日常生活で使われる語が中心で、事件、事故、経済、科学、スポーツ、
気象などを記述する語の収録は不十分なため、必要な語は適宜使います。また 1,600 語
に入らない難しい語の中には、書き換えると不自然になる語があります。このような語
は、無理に書き換えず辞書や文中の説明で対応します。
語彙は、旧日本語能力試験の3級・4級の範囲で設定されています。
1は間違いです。
NEWS WEB EASY ではやさしい日本語のテキストに加えて以下の情報を提供しています。
NEWS WEB EASY は外国人だけのもの? NHK 放送技術研究所 田中英輝より
• ふりがな
すべての漢字にはふりがなを付与しています。
• 辞書
ニュース中の語をすべてやさしくできるとは限りません。下線のついた難しい語にカ
ーソルを重ねると小学生用の辞書の説明がポップアップします。
• 語の色分け
ニュース固有名詞が頻繁に登場しますが、小学生用の辞書にはほとんど収録されてい
ません。そこで、固有名詞を種類別にあらかじめ決めた色、地名は紫、人名はピンク、組織名は空色で表示します。
加えられているのは周辺的な情報ではなく、
●ふりがな
●辞書
●語の色分け
の3点です。
2は間違いです。
長文は分かりにくくなるため 50 文字以下に書き換えます。
NEWS WEB EASY は外国人だけのもの? NHK 放送技術研究所 田中英輝より
一文の長さは50文字以下に設定されています。
3は間違いです。
旧日本語能力試験の出題基準[2]の 3 級と 4 級の 1,600 語の範囲で書き換えます。ただ
NEWS WEB EASY は外国人だけのもの? NHK 放送技術研究所 田中英輝より
し、1,600 語は日常生活で使われる語が中心で、事件、事故、経済、科学、スポーツ、
気象などを記述する語の収録は不十分なため、必要な語は適宜使います。また 1,600 語
に入らない難しい語の中には、書き換えると不自然になる語があります。このような語
は、無理に書き換えず辞書や文中の説明で対応します。
4が正解です。
問3
その答えになる理由
活動の手順②で、聴き慣れた言葉を言い合うことでキーワードとその意味を確認しています。
自分の理解をモニターすることにつながるので、1は適切です。
活動の手順②で、学習者が発言した言葉を教師が板書しています。
語彙を正確に認識させることにつながるので、2は適切です。
活動の手順②で、一文ずつ区切りながらキーワードを確認しています。
その後③~⑤で再度内容確認を行っているので、②の作業が全体の予測につながっています。
3は適切です。
活動の手順②で、一文ずつ区切りながらキーワードを確認しています。
言葉の意味などから全体の理解を進めていくのは「トップダウン処理」ではなく「ボトムアップ処理」ですね。
4が間違いです。
解説 トップダウン処理
「トップダウン処理」とは、既に持っている知識などを活用し、予測しながら理解を進めていく言語処理方法のことです。
前後の文脈から語の意味を類推したり、聴解の際のバックの音から場面を想像したりすることなどが該当します。
読解(聴解)で、あらかじめタスクを与えておき、必要な情報を探し出す「スキャニング」や、全体の大意をつかむ「スキミング」によってそれに答えさせる「タスク・リーディング(リスニング)」などが、トップダウン処理の練習につながります。
解説 ボトムアップ処理
「ボトムアップ処理」とは、文字→文法→文→文章全体のように、細かい部分から理解を進めていく言語処理方法のことです。
問4
その答えになる理由
問2の解説より「NHK NEWS WEB EASY」のガイドラインにのって書き換える場合、一文は50文字以下にします。
1が正解です。
問5 「やさしい日本語」のニュース教材を用いる利点
その答えになる理由
ニュースには「〜としています、〜と見られています」などの独特の慣用表現が出
NEWS WEB EASY は外国人だけのもの? NHK 放送技術研究所 田中英輝より
現しますが、日常会話で使われません。そこで慣用表現はできるだけ普通の表現に
書き換えます。
本ガイドラインでは、ニュース特有の慣用表現はできるだけ普通の表現に書き換えられます。
1が正解です。