令和元年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題8
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 内容言語統合型学習(CLIL)
解説 内容言語統合型学習(CLIL)
「 内容言語統合型学習(CLIL)」とは、目標言語と教科内容を同時に教えることを目的にした教授法です。
日本の高校でも、英語の授業を英語で行うといった形で導入されています。
「 内容言語統合型学習(CLIL)」 では、
●Content(内容)
●Communication(言語知識・言語使用)
●Cognition(思考)
●Community/Culture(協学・異文化理解)
の4つの要素を取り入れて教材開発や指導をすることで、教育の質が高くなると考えられています。
基本は目標言語だけの授業ですが、学習者が困っている場合は部分的に媒介語を使用してしっかり支援するといった柔軟性も持ち合わせています。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
日本語の授業で「 内容言語統合型学習(CLIL)」を行う場合、授業自体は日本語で行われますが、学習者に母語や媒介語の使用を禁じるわけではありません。
学習者が困っている場合は、部分的に母語や媒介語の使用を認めています。
1は間違いです。
「内容言語統合型学習(CLIL)」では、意味を重視しつつも必要に応じて言語構造も教えます。
2は間違いです。
3は何も問題ありません。
これが正解です。
「内容言語統合型学習(CLIL)」では、学習者が日本語の表現を間違えたときに、指導は行いますが一つ一つ細かな訂正をするわけではありません。
4は間違いです。
問2
その答えになる理由
資料2は生教材のため、学習者が学習済みの語や文法だけで資料が構成されているとは限りません。
1が正解です。
問3 スキミング
解説 スキミング
「スキミング」とは、読解や聴解において全体をざっと把握して大意をつかむことを指します。
細かい部分にこだわらず、ポイントを理解する力を養成するのが特徴です。
スキミングの力をつけることで、
●わからない部分を文脈から類推する
●先を予測しながら、読む・聞く
●仮説を立てて検証しながら、読む・聞く
といった活動ができるようになります。
解説 スキャニング
関連する用語もあわせて整理してしまいましょう。
「スキャニング」とは、読解や聴解において特定の情報をつかむことを指します。
不要な部分を飛ばして、必要な情報のみを見つける力を養成するのが特徴です。
●求人情報から、希望する勤務地に関する情報を見つけ出す
●天気予報から、自分の住む地域に関する情報を聞き取る
などの活動ができるようになることを目的としています。
その答えになる理由
2が「スキミング」の説明そのままですね。
これが正解です。
問4 思考ツール
解説 ボーンズ(特性要因図)
選択肢1の「ボーンズ(特性要因図)」は、結果である特性がどのようにしてもたらされたかを図式化して、そこに潜んでいる問題点を特定するのに用いられる方法のことです。
魚の骨に似ていることから、「フィッシュボーン図」「フィッシュボーンチャート」とも呼ばれます。
解説 同心円チャート
選択肢2の「同心円チャート」は、中心から外側にいくにつれて概念が大きくなるように同心円を重ねたもののことです。
解説 ベン図
選択肢3の「ベン図」とは、複数の集合の関係や、集合の範囲を視覚的に図式化したものです。
選択肢2の「同心円チャート」も「ベン図」の特殊な例です。
解説 ピラミッドチャート
「ピラミッドチャート」とは、複数のアイデアを整理して主張を明確化するためのツールです。
複数名で考えをまとめていく際によく使われます。
その答えになる理由
問題の要因を細分化して整理するのに適しているのは「ボーン図」です。
1が正解です。
問5
その答えになる理由
1は何も問題ありません。
これが正解です。
自分の意見を書かせる内省活動のため、一人で書けないからといって、これまで出た様々な意見を整理させるのは趣旨に合いません。
2は間違いです。
自分の意見を書かせる内省活動のため、新しく学んだ言語形式ばかりこだわる必要はありません。
3は間違いです。
自分の意見を書かせる内省活動のため、グループの意見と齟齬が出たかは気にしなくても問題ありません。
4は間違いです。