令和3年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題3A
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
前の問題はこちら
(1) 調音点
その答えになる理由
今まで出てこなかったタイプの問題ですね。
1が正解です。
(2) 韻律的特徴を表現する表記体系
解説 韻律(プロソディ)
その答えになる理由
「韻律=プロソディ」だとわかれば、楽勝です。
1 Hello
2 안녕하세요
3 你好 nǐ hǎo
4 こんにちは
1・2・4は、文字だけ見ても
- どこを強調して発音したか?
- どこを高く発音したか?
- 上昇調・下降調のどちらで発音したか?
などの韻律的特徴はわかりません。
3のピンインだけは、4つの声調のうち、どれで発音すればよいかを文字から判別することができます。
これが正解です。
(3) アクセント
その答えになる理由
これは、消去法で解くしかないですね…!!
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
東京方言における複合語のアクセントは、名詞+名詞の場合、
えど + じだい → えどじだい
低高 + 低高高 → 低高高低低
こうとう + がっこう → こうとうがっこう
低高高高 + 低高高高 → 低高高高高低低低
のように、後部の1拍目までが高くなることが多いです。
また、動詞+動詞の場合、
かき + なおし → かきなおし
低高 + 低高高 → 低高高高高
とり + あつかい → とりあつかい
低高 + 低高高高 → 低高高高高高
のように、原則として平板型になります。
いずれも、前部には関係なく、後部要素によってアクセント型が決定されているため、1は間違いです。
アクセント核とは、
えどじだい
低高高低低
の「じ」のように、アクセントが高→低に下がる部分のことを言います。
2は間違いです。
東京方言における名詞のアクセント型は、最大で
【平板型】
桜(が)
さくらが
低高高高
【頭高型】
男(が)
おとこが
低高高低
【中型型】
心(が)
低高低低
【尾高型】
命(が)
いのちが
高低低低
の4種類あるのに対して、動詞は原則として
【平板型】
泣く
なく
低高
【頭高型】
読む
よむ
高低
【中高型】
起きる
おきる
低高低
の3種類であり、形容詞も原則として
【平板型】
赤い
あかい
低高高
【頭高型】
良い
よい
高低
【中高型】
白い
しろい
低高低
の3種類です。
残った4が正解です。
(4) 統語的関係
解説 統語構造
雨降り (主語+述語)
魚釣り (目的語+述語)
解説 範列関係(系列関係)
ディズニーランドに行きたい
USJに行きたい
レゴランドに行きたい
ジブリパークに行きたい
であれば、
- ディズニーランド
- USJ
- レゴランド
- ジブリパーク
は、範列関係にあると言えます。
解説 プロミネンス
解説 フォーカス
その答えになる理由
「語と語の修飾・被修飾といった」とあるので、(ア)は統語機能です。
(イ)に入るのは、「話し手が伝えたい情報を強調して話す」であればプロミネンスですが、「話し手が伝えたい情報そのもの」なのでフォーカスですね。
2が正解です。
(5) パラ言語
解説 パラ言語
その答えになる理由
用語を知っているかどうかだけの問題ですね。
1 メタファー … 隠喩
2 ダイクシス … 直示
4 シソーラス … 辞書
3が正解です。