
令和5年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅲ 問題13
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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問1 交渉会話の特徴を持つ発話の例
解説 交渉会話
依頼・禁止
などが該当します。
解説 交流会話
挨拶・相槌
などが該当します。
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、具体的な天気の話をしたいわけではなく、ただの挨拶ですね。
これは、交流会話の例です。
2は、
・ 場所が未確定だった明日の交流会は、ラウンジですることになった。
・ 明日の交流会の場所が、ラウンジに変更になった。
といった情報を伝えて注意を促していますね。
これは、交渉会話の例です。
3は、選択肢にある通り、ただの挨拶ですね。
これは、交流会話の例です。
4は、パーティーの雰囲気について言及したいわけではなく、ただの挨拶ですね。
これは、交流会話の例です。
問2 心的距離を近づけるための質問の方法
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
教師と生徒のような関係であれば、まとめて質問された方が助かるのですが…
会話だと、知りたいことを一度にまとめて質問されると身構えてしまうことの方が多そうですね。
心的距離が近づくわけではないので、1は間違いです。
共通の話題があると、心的距離が近づきます。
それが以前に盛り上がったものであれば、なおさらですね。
別の質問で心的距離が近づくわけではないので、2は間違いです。
一方的に話し続けるよりも、上手くやり取りできた方が心的距離が近づきます。
相づちをしたり、相手側の話題を引き出したりするのが良いですね。
心的距離が近づく内容なので、3が正解です。
相手よりも自分が詳しい事柄について質問するのは…マウントを取っているみたいで嫌な感じですね。
心的距離が遠くなっていくので、4は間違いです。
問3 共同発話の例
解説 共同発話
A「昨日、テレビでさぁ…」
B「●●が出ていた番組?」
A「そう!すごく良かったよね」
のような察して先回りしただけでは不十分で
A「こんなに物価高が続くと…」
B「家計がしんどいよね…」
のような複数人で1つの会話を成立させているものが該当します。
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1は、友人XとYで「日本の夏ってほんと湿気がすごいよね」という1つの会話を成立させています。
これが共同発話の例です。
2は、社員Xの「一緒に出ても…」に続く「いいですか?」を社員Yが察して先回りしただけですね。
複数人で1つの会話を成立させているわけではありません。
3は、友人Xの「席をちょっと…」に続く「取っておこう」を友人Yが察して先回りしただけですね。
複数人で1つの会話を成立させているわけではありません。
4は、教師Xの発話にある「プリント」について、学生Yが確認しただけですね。
複数人で1つの会話を成立させているわけではありません。
問4 話題の終了を示唆する行動の例
その答えになる理由


選択肢を1つずつ見ていきましょう。
A「昨日、新しくできたカフェに行ってきたんだけど…」
B「どうだった?」
A「雰囲気がすごく良くて…」
B「へぇ~」
A「ドリンクの種類も多くて…」
のように盛り上がって声が大きくなっていくことはありますが、会話のクライマックスに向けて音量が上がっていくことはなさそうですね。
1は、話題の終了を示唆する行動の例として適当ではありません。
A「昨日、新しくできたカフェに行ってきたんですよ」
B「どうだった?」
A「雰囲気が素敵でしたよ」
B「そうなんだ」
A「ドリンクの種類が多いのも、個人的にすごく良かったんですよね」
終助詞の「よ」が繰り返し用いられたからといって、そろそろ会話が終わるかも…とはならないですね。
単なるモダリティの1つです。
2は、話題の終了を示唆する行動の例として適当ではありません。
うなずきながら話すスピードを速くするのは、単に盛り上がっているだけの場合もあれば、「もう会話したくない!」ということを暗に示している場合もありますね。
3は、話題の終了を示唆する行動の例になりえます。
「うんうんうんうん」のように相づちをしたり、会話内容をまとめるような評価的な発話を増やしたりすることで「もう会話したくない!」ということを暗に示すことができますね。
4は、話題の終了を示唆する行動の例になりえます。
3と4を比べてみると…
3は、単に盛り上がっているだけのときも見られる行動ですね。
話題の終了を示唆する行動の例として最も適当なのは、4です。
問5 OPIの原理や手法を用いた会話教育
解説 OPI Oral Proficiency Interview
判定の尺度は、以下の10段階です。
①初級ー下
②初級ー中
③初級ー上
④中級ー下
⑤中級ー中
⑥中級ー上
⑦上級ー下
⑧上級ー中
⑨上級ー上
➉超級
その答えになる理由


OPIそのものではなく、OPIの原理や手法を用いた会話教育ですね。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
OPIの目的は、外国語の口頭運用能力を測定することです。
学習者に達成感を与えるためではないので、1は間違いです。
OPIの目的は、外国語の口頭運用能力を測定することです。
「文型が定着したか?」ではなく「会話の中で適切な文型が使えるか?」ですね。
2は間違いです。
3は何も問題ありません。
これが正解です。
OPIは、外国語の口語運用能力を測定するためのインタビュー試験です。
その原理・手法を用いた会話教育において、活動目的を理解させることは大切ですが、ウォームアップを行うかはOPIに関係ないですね。
4は間違いです。
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