令和2年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における
試験Ⅰ 問題3D
の解説です。
お手元に、問題冊子をご用意の上でご確認ください。
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(16) 橋本進吉
解説 山田 孝雄(やまだ よしお)
解説 橋本 進吉(はしもと しんきち)
解説 三上 章(みかみ あきら)
解説 時枝 誠記(ときえだ もとき)
その答えになる理由
学校文法の基礎となったのは、橋本 進吉による文法研究ですね。
2が正解です。
(17) 学校文法における語の形態や品詞の扱い方
解説 自立語
日本語の品詞では、
- 動詞
- イ形容詞
- ナ形容詞
- 名詞
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- 感動詞
が自立語に分類されます。
解説 文節
「文節」とは、文を意味がわかり・発音上不自然にならない程度に短く区切ったまとまりのことです。
【文】
私はその人を常に先生と呼んでいた。
↓
【文節】
私はネ / そのネ / 人をネ / 常にネ / 先生とネ / 呼んでいた。
のように、「ネ」を入れて区切ってみましょう。
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
1の「自立語」とは、日本語の単語の分類の1つで、一単語で一文節をつくることができる語のことです。
- 動詞
- イ形容詞
- ナ形容詞
- 名詞
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- 感動詞
の8つの品詞が自立語で
- 助動詞
- 助詞
の2つの品詞が付属語ですが、これは「一単語で一文節をつくることができるか?」による分類であり、活用の有無によるものではありません。
1は、間違いです。
自立語・付属語について、以下の記事で詳しく解説しています。
これらもあわせてご確認ください。
学校文法での品詞は、
- 動詞
- イ形容詞
- ナ形容詞
- 名詞
- 副詞
- 連体詞
- 接続詞
- 感動詞
- 助動詞
- 助詞
の10個に分類されています。
指示詞とは、「こそあど」などを用いて、談話の中に出てくる人・事柄などを指し示すもののことです。
【名詞に分類される指示詞】
これ・それ・あれ・どれ
ここ・そこ・あそこ・どこ
【副詞に分類される指示詞】
こう・そう・ああ・どう
【連体詞に分類される指示詞】
この・その・あの・どの
のように、複数の品詞にまたがっているため、品詞の一つではありません。
2は、間違いです。
品詞全般については、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
品詞とは、単語を文法上の観点から分類したもののことです。
勇者ヒンメルならそうしたってことだよ。
という文を文節で区切ると
勇者ヒンメルなら / そうしたって /ことだよ。
となり、さらに単語で区切ると
勇者 / ヒンメル / なら / そう /し /た /って /こと /だ /よ。
となります。
これらの単語は、それぞれどのような文法上の働きをもっているかによって
- 勇者 … 名詞
- ヒンメル … 名詞
- なら … 助詞
のように、どの品詞に該当するかを当てはめることができますね。
品詞は、単語で区切った単位に等しいと言えます。
3は、間違いです。
文節・単語については、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてご確認ください。
学校文法では、
- 未然形 … 読ま(ない)
- 連用形 … 読み(ます)
- 終止形 … 読む
- 連体形 … 読む(とき)
- 仮定形 … 読め(ば)
- 命令形 … 読め
のように、動詞を語幹と活用語尾で分けて取り扱います。
一方、日本語教育文法では、
- マス形 … 読みます
- テ形 … 読んで
- バ形 … 読めば
のように、活用語尾も含めてひとまとまりとして取り扱います。
4が正解です。
(18) 辞書形
その答えになる理由
「書く」を例に考えてみましょう。
日本語教育の文法における辞書形は、「書く」です。
学校文法における活用形は、
未然形 | 連用形 | 連体形 | 終止形 | 仮定形 | 命令形 | |
語幹 | か | か | か | か | か | か |
活用語尾 | か | き | く | く | け | け |
なので、連体形・終止形と同じですね。
1が正解です。
(19) 学校文法の活用形
その答えになる理由
「書く」を例に、1・2を考えてみましょう。
「書く」の命令形は、「書け」です。
これは、文中で単独で使える形ですね。
1は、例として不適当です。
「書く」の未然形は、「書か」です。
これは、文中で単独で使える形ではないですね。
2は、例として適当です。
「きれいだ」を例に、3・4を考えてみましょう。
「きれいだ」の終止形は、「きれいだ」です。
これは、文中で単独で使える形ですね。
3は、例として不適当です。
「きれいだ」の仮定形は、「きれいなら」です。
これは、文中で単独で使える形ですね。
4は、例として不適当です。
(20) 日本語教育・学校文法の活用の体系
その答えになる理由
選択肢を1つずつ見ていきましょう。
「単独で文節を作れる語」とは、自立語のことです。
自立語のうち、活用するものは、
- 動詞
- 形容詞(日本語教育文法でのイ形容詞)
- 形容動詞(日本語教育文法でのナ形容詞)
の3つの品詞に分けることができますね。
1は、間違いです。
学校文法では、
未然形 | 連用形 | 連体形 | 終止形 | 仮定形 | 命令形 | |
語幹 | か | か | か | か | か | か |
活用語尾 | か | き | く | く | け | け |
のように、普通体(ダ・デアル)で活用の体系を整理します。
一方、日本語教育の文法では、丁寧体(デス・マス)で活用の体系を整理しています。
これは、丁寧体の方が活用のパターンが簡単であること・実際のコミュニケーションの場面で使う機会が多いことによるものです。
2は、学校文法・日本語教育の文法が逆になっていますね。
学校文法では、活用形を
- 未然形
- 連用形
- 終止形
- 連体形
- 仮定形
- 命令形
の6つに分類しています。
日本語教育の文法では、連用形に該当する形が
- テ形
- マス形
のように、分かれていたり、
- 受身形
- 使役形
なども活用形になっているため、活用形の種類は、学校文法よりも多くなりますね。
3が正解です。
日本語教育の文法では、助動詞や補助用言を単独で扱うことはないため、「ない」の品詞を考えること自体がありません。
- 「見ない」は、動詞「見る」のナイ形
- 「高くない」は、イ形容詞「高い」のナイ形
です。
それぞれ異なる品詞ですが、あくまで「見る」「高い」を区別したものであって、「ない」の品詞を取り扱ったものではないですね。
4は、間違いです。