日本語教育能力検定試験の時事問題対策・日本語教師を目指す上でのマーケティング用の「どの資料の」「どこを見れば良いか」の参考としてご活用ください。
執筆時点で最新の「令和4年度調査」を参照しています。
目次
日本語教育能力検定試験の時事問題の特徴
確認が必要なのは、最新の資料だけ
複数の資料を見比べなければ答えがわからない問題は、出題されていません。
たとえば、
の中で前年度からの比較が記載されているものは出題されていますが、
の2つの資料を見比べないとわからないものは出題されていません。
ただし、試験本番での最新資料が出典元とは限らない
勉強するのは最新資料ですが、最新年度の情報だけでなく、変化にも目を向ける必要があります。
令和3(2021)年度試験で、「国内の日本語教育の概要」が出典元となり、日本語教師等の数が出題されました。
ただし、ここで聞かれたのは
ではなく
です。
これは、資料が発表された7月中旬よりも前に問題作成が終わっているためだと思われます。
そのため、令和6(2024)年度試験の受験であれば、
- 2024年7月中旬頃に公表される令和5年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」
ではなく、
が出典元になるのではないでしょうか?
数値・割合を見るときのポイント
数値・割合は、単体で見ても「多い・少ない」「高い・低い」がわかりません。
必ず、比較して確認するようにしましょう。
単年度分を確認するときは、
- 上位項目は●●で、それぞれが全体に占める割合は▲▲%
前年度調査との差異を確認するときは、
- 上位項目で順位が変動したものはないか?
- 上位項目で数値・割合が大きく増えた・減ったものはないか?
を意識して見ていくのがおススメです。
「国内の日本語教育の概要」を公表しているのは、文化庁
最新資料は、毎年7月中旬に公表される
文化庁HPのここをチェックしましょう。
ホーム > 統計・白書・出版物 > 統計・調査研究等 > 日本語教育実態調査等
令和5年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」は、令和6(2024)年7月15日~25日頃に掲載されるのではないかと思います。
「国内の日本語教育の概要」からわかること
「国内の日本語教育の概要」は、
- 外国人等に対する日本語教育の現状について
- 日本語教師等の養成・研修の現状について
- 日本語教育コーディネーターの現状について
の3部で構成されています。
「外国人等に対する日本語教育の現状について」からわかること
- 国内の日本語教育実施機関・施設等の数
- 国内の日本語教師等の数
- 国内の日本語学習者の数
「日本語教師等の養成・研修の現状について」からわかること
- 国内の日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の数
- 国内の日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の教師の数
- 国内の日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の受講者の数
「日本語教育コーディネーターの現状について」からわかること
- 日本語教育コーディネーターの数
- 日本語教育コーディネーターの配置機関施設等の数
- 日本語教育コーディネーターの業務内容
国内の日本語教育実施機関・施設数
国内の日本語教育実施機関施設等は、前年度から+223(+8%)の2,764でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どのような日本語教育実施機関・施設等が増えたの?順位に変動はあった?
-
どの日本語教育実施機関・施設等も増加しました。
順位の変動はありません。
増加数は、任意団体の+78が1番多いです。
以下、地方公共団体の+49→法務省告示機関の+36と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P6
国内の日本語教師数
国内の日本語教師等の数は、前年度から+4,789人(+12.2%)の44,030人でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
国内の日本語学習者数
国内の日本語学習者数等は、前年度から+96,400(+78.1%)の219,808人でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- どのような属性の学習者が多いの?
-
留学生が149,604人(全体の68.1%)と断トツで多いです。
以下、ビジネス関係者およびその家族13,309(全体の6.1%)→研修生・技能実習生11,478人(全体の5.2%)と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P14
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どこで勉強する学習者が増えたの?
-
どの教育機関の学習者数も増加しました。
増加数は、法務省告示機関の+62,114人が1番多いです。
以下、大学等機関の+12,794人→任意団体等+7,965人と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P8
また、順位も以下のように変動がありました。
ただし、これは法務省告示機関の学習者数が急に伸びたわけではありません。
令和2年度以前も令和4年度調査と同じ順位・同程度の割合であり、コロナ禍で一時的に減っていた分が復活したことによるものだとされています。
| 令和3年度調査 | 令和4年度調査 |
1 | 大学等機関 全体の33.8% | 法務省告示機関 全体の43.6% |
2 | 法務省告示機関 全体の27.4% | 大学等機関 全体の24.8% |
3 | 任意団体等 全体の17.4% | 任意団体等 全体の13.3% |
4 | 国際交流協会 全体の11.0% | 地方公共団体・教育委員会 全体の9.4% |
5 | 地方公共団体・教育委員会 全体の10.4% | 国際交流協会 全体の8.9% |
- 学習者の出身国・地域の順位に変動はあった?
-
ネパールが4,291人→25,721人と前年から+21,430人(+599%)で3位にランクインしました。
韓国は、4,702人→6,675人と他よりも伸び幅が小さく、6位に順位を落としています。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P23
| 令和3年度調査 | 令和4年度調査 |
1 | 中国 47,997人 | 中国 67,027人 |
2 | ベトナム 24,735人 | ベトナム 31,643人 |
3 | フィリピン 5,952人 | ネパール 25,721人 |
4 | 韓国 4,702人 | フィリピン 8,025人 |
5 | インドネシア 4,677人 | インドネシア 7,367人 |
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の数
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の数は、前年度から+66(+9.8%)の741でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等が多いの?
-
大学等機関が204(全体の27.5%)と1番多いです。
以下、地方公共団体・教育委員会の163(全体の22.0%)→任意団体等の155(全体の20.9%)と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P25・29
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等が増えたの?
-
増加数は、任意団体等の+36が1番多いです。
以下、地方公共団体・教育委員会の+20→大学等機関+9と続きます。
法務省告示機関のみ前年度と変わらずで、そのほかは増加しました。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P25・29
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の教師の数
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の教師の数は、前年度から+109人(+2.3%)の4,919人でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等での教師数が多いの?
-
大学等機関での教師数が2,985人(全体の60.7%)と断トツで多いです。
以下、任意団体等632人(全体の12.8%)→地方公共団体・教育委員会568人(全体の11.5%)と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P26・29
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等での教師数が増えたの?
-
増加数は、地方公共団体・教育委員会の+149人が断トツで多いです。
以下、任意団体等の+30人→国際交流協会+22人と続きます。
法務省告示機関のみ前年度から16人減少しており、そのほかは増加しました。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P26・29
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の受講者の数
日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等の受講者の数は、前年度から▲1,943人(▲6.4%)の28,648人でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等での受講者が多いの?
-
大学等機関での受講者が12,397人(全体の43.3%)と断トツで多いです。
以下、任意団体等5,407人(全体の18.9%)→国際交流協会4,917人(全体の17.2%)と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P27・29
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どのような日本語教師等の養成・研修実施機関・施設等での受講者が減ったの?
-
任意団体等▲1,382人→法務省告示機関▲1,030人→大学等機関▲629人の順に減少数が多くなっています。
増加数は、地方公共団体・教育委員会の+777人が断トツで多く、国際交流協会の+321人が続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P27・29
日本語教育コーディネーターの配置機関・施設等の数
日本語教育コーディネーターの配置機関・施設等の数は、前年度から+52の331でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- 日本語教育コーディネーターの配置機関・施設等の数の順位に変動はあった?
-
前年度に2位だった地方公共団体が1位になっています。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P34
| 令和3年度調査 | 令和4年度調査 |
1 | 国際交流協会 77 | 地方公共団体 93 |
2 | 地方公共団体 74 | 国際交流協会 81 |
3 | 任意団体 42 | 任意団体 66 |
4 | 教育委員会 28 | 教育委員会 31 |
5 | 大学等機関 23 | 大学等機関 23 |
日本語教育コーディネーターの数
日本語教育コーディネーターの数は、前年度から+95の790人でした。
(令和4年11月1日現在)
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- どのような勤務形態の日本語教育コーディネーターが多いの?
-
非常勤が305人と1番多いです。
以下、常勤264人→ボランティア221人と続きます。
令和4年度調査の結果は、前年度と比べてどうだったのか?
- どこで働く日本語教育コーディネーターの数が増えたの?
-
増加数は、大学等機関が+46人と1番多いです。
以下、任意団体の+41人→地方公共団体+29人と続きます。
減少したのは、社団法人・財団法人の▲37人→国際交流協会の▲9人→特定非営利活動法人の▲8人です。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P35
- 日本語教育コーディネーターが働く場所の順位に変動はあった?
-
日本語教育コーディネーターの配置機関・施設等の数と同様に、前年度に2位だった地方公共団体が1位になっています。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P35
| 令和3年度調査 | 令和4年度調査 |
1 | 国際交流協会 209人 | 地方公共団体 237人 |
2 | 地方公共団体 208人 | 国際交流協会 200人 |
3 | 任意団体 76人 | 任意団体 117人 |
4 | 大学等機関 48人 | 大学等機関 94人 |
5 | 教育委員会 36人 | 教育委員会 50人 |
日本語教育コーディネーターの業務内容
日本語教育コーディネーターが担当している業務内容で1番多いのは、「日本語教師等や関係機関との連絡・調整」です。
(令和4年11月1日現在)
※ 日本語教育コーディネーターの業務内容については、資料内に前年度調査と比較できる項目はありません。
令和4年度調査単体では、どのような結果だったのか?
- 日本語教育コーディネーターの業務は、どのような内容が多いの?
-
「日本語教師等や関係機関との連絡・調整」が292件と1番多いです。
以下、「地域における日本語教育の企画・運営」287件→「地域における日本語教育の実態把握」230件と続きます。
参考:令和4年度日本語教育実態調査報告書「国内の日本語教育の概要」 P35
※ この項目のみ、複数回答ありです。
最後に
日本語教育ナビでは、日本語教育能力検定試験の過去問解説のほか、日本語教育能力検定試験・新制度での日本語教員試験に共通して重要な日本語文法の解説なども掲載しています。
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