【平成29年度 日本語教育能力検定試験 過去問】試験Ⅰ 問題1の解説!

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過去問解説

(1)音声的対立

その答えになる理由

[θ] 無声歯摩擦音
[ð] 有声歯摩擦音
「声帯振動」で音声的に対立しています。

[ç] 無声硬口蓋摩擦音
[ɸ] 無声両唇摩擦音
「調音点」で音声的に対立しています。

[t] 無声歯茎破裂音
[d] 有声歯茎破裂音
「声帯振動」で音声的に対立しています。

[ɕ] 無声歯茎硬口蓋摩擦音
[ʑ] 有声歯茎硬口蓋摩擦音
「声帯振動」で音声的に対立しています。

[p] 無声両唇破裂音
[b] 有声長身破裂音
「声帯振動」で音声的に対立しています。

2だけ「調音点」で音声的に対立しています。
これが正解です。

(2)句末での無声化

解説 母音の無声化

日本語では、
① 狭母音[i][ɯ]の前後が無声のとき
② 狭母音[i][ɯ]の後ろが無音のとき
に、ほぼ規則的に母音が無声化します。

その答えになる理由

今回は「句末」という指定があるので、どの選択肢も後ろは無音です。
また、どの選択肢も狭母音の[i]か[ɯ]なので、前に無声の子音がついているかどうかで判断します。

1 すうりょ → 原則 無声化しない
2 ぎ → 原則 無声化しない
3 さく → 原則 無声化しない
4 ごう → 原則 無声化しない
5 ほしゅ → 無声化する

5が正解です。

(3)東京方言のアクセント型

その答えになる理由

1 平板型
2 平板型
3 平板型
4 頭高型
5 平板型

4が正解です。

アクセントについては、以下で解説しています。

(4)漢字の成り立ち

その答えになる理由

1 象形
2 象形
3 象形
4 象形
5 会意

5が正解です。

六書における漢字の分類については、以下の練習問題を掲載しています。

(5)借用における文法形式の脱落

その答えになる理由

選択肢を英語にしてみましょう。

1 mashed potato
2 chiffon cake
3 smoked cheese
4 iced coffee
5 scrambled eggs

2以外は、カタカナにしたときに「~された」を表す「~ed」が欠落しています。
2だけ借用時に文法形式の脱落がありません。
これが正解です。

(6)派生語の語構成

その答えになる理由

それぞれの派生語がどのような語構成になっているかを見ていきましょう。

1 栄養+士 栄養する人(?)
2 調査+官 調査する人
3 審査+員 審査する人
4 依頼+人 依頼する人
5 看護+師 看護する人

1が正解です。

(7)活用

その答えになる理由

選択肢をナイ形にして考えてみましょう。

1 閉じない → 一段動詞
2 混じらない → 五段動詞
3 演じない → 一段動詞
4 論じない → 一段動詞
5 感じない → 一段動詞

2が正解です。

(8)助動詞の意味

その答えになる理由

古文の問題ですね…!!

接続未然形連用形終止形連体形已然形命令形
完了の助動詞「ぬ」未然形ぬるぬれねよ
打ち消しの助動詞「ず」連用形ざら
ざり

ざる

ざれ
ざれ

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

●「立つ」の連用形「立ち」に接続している
●文末→終止形
なので、1は完了の助動詞「ぬ」です。

●受身の助動詞「る」の未然形に接続している
●後ろが名詞→連体形
なので、2は打ち消しの助動詞「ず」です。

●「転ぶ」の未然形「転ば」に接続している
●後ろが名詞→連体形
なので、3は打ち消しの助動詞「ず」です。

●「ある」の未然形「あら」に接続している
●文末→終止形
なので、4は打ち返しの助動詞「ず」です。

●「見る」の未然形「見(み)」に接続している
●後ろが名詞→連体形
なので、4は打ち消しの助動詞「ず」です。

2が正解です。

(9)形容詞の格

その答えになる理由

「形容詞の格」と言われると身構えてしまいますね。
堅苦しい問題のときは、例文を言い換えてみるとイメージがつきやすいです。

1 恋しい故郷
2 うまい魚
3 まぶしい太陽
4 欲しい水(?)
5 苦い薬

4だけ違和感がありますね。
この問題では、形容詞の前にくる「ガ格」の意味が聞かれています。

1・2・3・5のように言い換えて成立しているものは、形容詞の主体となる「ガ格」です。
「故郷=美しい」の構図になっています。

一方で4のように言い換えて成立しないものは、形容詞の対象となる「ガ格」です。
他動詞文に近い構図になっています。

4が正解です。

(10)行為要求のモダリティ

解説 モダリティ

文は、命題モダリティから成り立っています。
命題は文の骨格とも言える事柄を表し、モダリティは命題に対する話者の気持ちなどを伝えます。

  例)犯人は彼だと思う。
であれば、「犯人は彼だ」が命題で「と思う」がモダリティです。

モダリティは、対事的モダリティ対人的モダリティに分かれます。

対事的モダリティは、前述の例題のように、命題に対する自分の気持ちを表します。

一方、対人的モダリティは、命題について相手に同意や確認を求めます。
  例)明日一緒に出掛けよう。
であれば、「明日一緒に出掛ける」が命題で「よう」が対人的モダリティです。

その答えになる理由

3だけ「こっちに来てほしい」という行為要求ではなく、単なる同意を求める表現ですね。
これが正解です。

(11)二つの出来事の継起を表す表現

その答えになる理由

「継起」とは、物事が続けて起こることです。
選択肢を1つずつ見ていきましょう。

○「荷物が届く」→「中の商品を確認する」
物事が続けて起こっているので、1は継起表現です。

○「座席に座る」→「寝てしまう」
物事が続けて起こっているので、2は継起表現です。

○「お湯を入れる」→「きれいな色に変わる」
物事が続けて起こっているので、3は継起表現です。

○「会場に到着する」→「資料を配り始める」
物事が続けて起こっているので、4は継起表現ではありません。

×「事前に連絡する」→?
5は物事が続けて起こっているわけではありません。
「~なり~なり」の列挙表現です。

5が正解です。

(12)否定の焦点

その答えになる理由

どの語を否定しているかを見ていきましょう。

1 動詞「ぶつける」ではなく、「わざと」を否定
2 動詞「泣く」ではなく、「悲しい」を否定
3 動詞「出る」を否定
4 動詞「来る」ではなく、「車で」を否定
5 動詞「わかる」ではなく、「すべて」を否定

3が正解です。

(13)副詞の呼応

解説 情態副詞

山田孝雄は、動詞を「情態副詞」「程度副詞」「陳述副詞」の3つに分類しています。

「情態副詞」とは、動作の変化の仕方や出来事のあり方を表す副詞のことです。
擬音語(ピカッと)・擬態語(ガツンと)・畳語(ごろごろ)なども「情態副詞」に含まれます。

解説 程度副詞

「程度副詞」とは、状態性の意味のある語にかかって、その程度を限定する副詞のことです。

「だいぶ」
「けっこう」
「かなり」

解説 陳述副詞

「陳述副詞」とは、述語の陳述の仕方を表す副詞のことです。
通常、文末と呼応します。

【推量】「おそらく(~だろう)」
【仮定】「もし(~なら)」
【否定】「けっして(~ない)」

その答えになる理由

今回は「呼応」というキーワードがあるので、「陳述副詞」の問題です。

1 「いまだ」→「ない」と呼応
2 「なぜ」→「か」と呼応
3 「もし」→「ば」と呼応
4 「どうぞ」→「ください」と呼応
5 「あいにく」→×

5だけ呼応する語がありません。
これが正解です。

副詞の分類については、以下の練習問題を掲載しています。
ぜひ、チャレンジしてみてください。

(14)「ご」の用法

その答えになる理由

物事につく「ご」は、以下の3パターンです。

① 「尊敬語」の「ご」
相手の行為・物事などについている「ご」

② 「謙譲語Ⅰ」の「ご」
相手への行為・物事(自分側の行為)などについている「ご」

③ 「美化語」の「ご」
①・②のどちらでもなく、ただ語を美しく表現するためについている「ご」

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

「立派」という相手の様子についているので、1の「ご」は尊敬語です。

「著書」という相手の物事についているので、2の「ご」は尊敬語です。

「褒美」という語を美しく言っているだけなので、3の「ご」は美化語です。

「欠席」という相手の行為についているので、4の「ご」は尊敬語です。

「理解」という相手の行為についているので、5の「ご」は尊敬語です。

3が正解です。

(15)「って」の用法

その答えになる理由

「って」を「という」に言い換えてみましょう。

田中君が行くいう伝言してくれよ。
1の「って」は、引用の「と」の口語形です。

さっき田中という人から電話があったよ。
2の「って」は、説明の「という」の口語形です。

漢字を10回ずつ書くという宿題が出された。
3の「って」は、説明の「という」の口語形です。

明日が試験だということ忘れてないよね。
4の「って」は、説明の「という」の口語形です。

ここぞという時に活躍するのがエースだよね。
5の「って」は、説明の「という」の口語形です。

1が正解です。

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