【令和4年度 日本語教育能力検定試験 過去問】試験Ⅰ 問題9の解説!

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過去問解説

令和4年度 日本語教育能力検定試験の試験問題における

 試験Ⅰ 問題9

の解説をしていきます。

お手元に、以下をご用意の上で読んでいただければ幸いです。

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問1 形式スキーマ

解説 スキーマ

言語学における「スキーマ」とは、音韻・形態・構文などに見られる「抽象的な知識構造」のことを指します。

…ピンとこないですよね。

動詞の「タ形」であれば、
 食べる → 食べた
 見る → 見た
の事例から「語幹+タ」のスキーマが抽出できる…といったイメージです。
具体的な事例から、抽象的な法則や枠組みを抽出した際の「法則」や「枠組み」がスキーマに当たります。

「形式スキーマ」と「内容スキーマ」に分類することができます。

解説 形式スキーマ

「形式スキーマ」とは、新聞・論文・小説・詩などにおける文章構造・展開の違いについての知識のことです。

解説 内容スキーマ

「内容スキーマ」とは、読み手自身の経験や知識から構成された社会・文化などに関する背景知識のことです。

その答えになる理由

「形式スキーマ」は、各文体における構造や展開の違いについての知識が該当します。
4がピッタリですね。
これが正解です。

問2 橋渡し推論

解説 推論

「推論」とは、読解をするときに、文字から得られる情報と既に持っている情報を利用し、明示されていない事柄について予想・論じることです。

「橋渡し推論」と「精緻化推論」に分類することができます。

解説 橋渡し推論

「橋渡し推論」とは、情報と情報をつなぐ推論のことです。

主に読解中に使われて、明示されていない事柄であっても、文脈と既に持っている情報によって理解します。
読解に関わるため、「橋渡し推論」のできる・できないは、文章を正しく理解できる・できないにつながります。

解説 精緻化推論

「精緻化推論」とは、より深い理解をするための推論のことです。

主に読解後に使われて、文章から読み取った事柄をもとに具体的なイメージをすることなどが該当します。
このイメージは人によって異なり、「橋渡し推論」のように読解の達成には影響を与えることはありません。

その答えになる理由

それぞれ、文章①・文章②を読んだ上で何を想像したかが書かれています。
想像した内容が文章①・文章②の理解に影響を与えていれば「橋渡し理論」、影響を与えていなければ「精緻化理論」です。

選択肢を1つずつ見ていきましょう。

1は、文章①・文章②を読んだ上で「文章①の出来事は、猫に引っかかれたものだろう」と想像しています。
実際には、猫による傷なのかは不明ですね。
文章②からの想像が文章①の理解に影響しているので、「橋渡し推論」の例です。

2は、文章①・文章②を読んだ上で「文章①②のときの天気は、良かったのだとう」と想像しています。
実際の天気は不明ですが、天気がどうだったかは文章①・文章②の理解に影響しません
これは「精緻化理論」の例です。

3は、文章①・文章②を読んだ上で「打球が飛んできてどうなったのか」を想像しています。
実際にどうなったかは不明ですが、その結果は文章①・文章②の理解に影響しません
これは「精緻化理論」の例です。

4は、文章①・文章②を読んだ上で「女性が何と声をかけてきたか」を想像しています。
実際に何と声をかけられたかは不明ですが、その内容は文章①・文章②の理解に影響しません
これは「精緻化理論」の例です。

1が正解です。

問3 認知資源(認知リソース)

解説 認知資源(認知リソース)

「認知資源」とは心理学の用語で、注意力や集中力が必要な作業を行うと消耗する、脳が使える容量のことです。

「慣れない環境で仕事をしていたら、いつもならしないようなミスをしてしまった…」という場合などは、認知資源が消耗している状態だと言えます。

また、「デキる人の机は、整理整頓されている」というのも「机上が散らかっていると注意力が散漫してしまい、認知資源が少なくなるから」だと説明できます。

その答えになる理由

2が「認知資源(認知リソース)」の内容にピッタリですね。
これが正解です。

問4 リスニングスパンテスト

解説 リスニングスパンテスト

「リスニングスパンテスト」とは、音声を聴いた直後にそれを再生させることで、ワーキングメモリの容量を測るテストのことです。

与えられる情報のことを「刺激文」と言うのですが、刺激文が視覚提示される場合は「リーディングスパンてスト」・聴覚提示される場合は「リスニングスパンテスト」と言います。

どこに焦点を当てて読みとる・聴き取るかはテストの内容次第なのですが、一般的に最初または最後に注目させることが多いです。

その答えになる理由

3が「リスニングスパンテスト」の内容にピッタリですね。
これが正解です。

問5 カクテルパーティー効果

解説 カクテル・パーティー効果

「カクテル・パーティー効果」とは、カクテル・パーティーのような騒がしい場でも、会話をする相手の声だけを判別できるような選別能力のことです。
周囲の環境のうち、自分に必要な事柄だけを選択して聞き取ったり、見たりする脳の働きを表しています。

「日本語教育に直接関係なくない…?」となるかもしれませんが、平成30年度試験でも出題されている一発屋ではない用語です。

その答えになる理由

2が「カクテル・パーティー効果」の内容にピッタリですね。
これが正解です。

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